波涛曲
2020年11月22日「つきのおと」楽曲紹介第7回は、 徳島由莉さんのヴァイオリンと寺田典子さんのパーカッション、 そして私のピアノのトリオ曲「波涛曲」のおはなしです。 この曲は今回のための書き下ろし曲で、 由莉さんと典子ちゃんのコンビネーションを想像した時に、 お二人に共通するイメージがあったので、 それを曲にしたいと思いました。 演奏している時のエネルギッシュな姿、 優雅でありつつもアグレッシヴ。 そんなイメージがお二人に共通のものとして私の中にあったので、 ぜひ!その全てを音に表現していただきたく、 曲にしてみました。 由莉さんに資料をお渡しした時に、 「この曲かっこいい!これ、早く弾きたいです!!」と 非常に喜んでいただけたことが嬉しくて、忘れられない思い出です。 典子ちゃんは、もちろん遠隔でのやり取りでしたが、 Rec完了時に 「ついつい盛り上がりすぎて、色々な楽器を入れてしまった」 と仰っていてその言葉通り、 創意工夫溢れる、盛り沢山のトラックが送られてきたのでした。 ピアノ面でのエピソードは… Lowの方でざくざく弾くアプローチが大好物なので、 そういった箇所をあちこちに散りばめて、楽しく演奏できて 個人的にも満足度が高かったです。 これまでの曲で、 実際に体験した事や、行った場所をテーマにする事は多いですが、 今回は完全にお二人のイメージの 「波ざっぱぁぁぁん」 を、あえてダイレクトにタイトルにしました! 聞きどころは色々ありますが、 個人的Pushポイントは、由莉さんのアグレッシヴ&エレガンスの対比、 そして、エンディングでの典子ちゃんのクラシカルなアプローチでしょうか。 (トライアングルのアレとか、ファイル単体で聴いても泣けてしまう(笑)) ぜひアルバム「つきのおと」で堪能していただけましたら嬉しいです!
不思議な木の実
2020年11月2日今日は「つきのおと」楽曲紹介6曲目、 「不思議な木の実」のおはなしです。 こちらは信頼できるパーカッショニスト寺田典子さん、 そしておなじみ筒井香織さんのクラリネット&リコーダー、 私のピアノ&メロディオンでのトリオの曲です。 もともとは町田ジャズフェス「あなぐらむ」で、 ツインキーボードの演奏のために作った楽曲でしたが、 今回、この曲を収録したい、と思った時に イの一番に、香織さんと典子ちゃんとのトリオで、 といったアレンジを思いつきました。 まず、香織さんに曲資料をお送りしたところ、 「かわいい!!この曲、大好きです」とお返事がいただけて、 とても嬉しかった記憶があります。 そして何よりこの曲のゲストのお二人は海外在住なので、 パリ、LA、東京と離れた場所で同時進行のRecがスタートしました。 香織さんは「クラの種類を替えてみようかな?A管も合うかも!」 「リコーダーでハモりいれてもいいですか?」など、 たくさんの緻密なアイディアを寄せてくださいました。 典子ちゃんは「不思議な木の実」というタイトルや音からの インスピレーションを得たのでしょうか、 木の実がいっぱいついている楽器をじゃらじゃら〜っと振ってくださったり (イントロから炸裂してます!) 木の実感、ホビット感、森の中感…満載の演奏を展開してくださっています。 思えばこの曲のアイディアは、ちょっと前の話になるのですが、 2015〜6年前後でしたでしょうか。 大阪のそれはそれは山の中に住んでいる友人が、 「近所になっている木の実なんだけど、種類がわからないんだよね」 と写真を送ってくれたのがきっかけです。 いまだにあれ、なんの木の実だかわかってないんですけど、 本当に不思議な光景でした。 大きな葉っぱ、巨大な木の実がごろごろとぶらさがっている図。 その写真を見てから曲のモチーフが出来上がり、 それが元で、「あなぐらむ」にてデジタルティックな木の実になり、 最終形態として今回の「不思議な木の実」になった訳です。 私は言葉で上手に説明できないヒトなんですが、 音のイメージだけで、お二方にこんなに素晴らしく世界を広げていただけて、 とても幸せに思いました。 今は離れた場所にいるけれど、 いつかこの3人で、木の実を一緒に演奏できたらいいなぁ。。。 今日のおはなしはここまでです。 アルバム「つきのおと」でこの曲を聴いてくださったみなさんにも、 一緒に森の中(山の中?)へお連れできたら良いなと思っております。
Shiny Things
2020年10月28日「つきのおと」楽曲紹介第5弾は、 オープニングを飾る1曲「Shiny Things」のおはなしです。 こちらは大高清美さんのオルガン、川口千里さんのドラム、 そして私がエレピ、シンセリードでのトリオの楽曲です。 この曲はお二人の私の中でのイメージ、お話させていただいた印象を 音にしたくて作ってみました。 飾り気のないラフなお人柄、 でも、キラキラ輝く何かが内側から迸っている様な。 お茶目なところもあったり、キュートだったり。 …お二人とも演奏している時は、もちろん皆さんご存知の通り、 ものすごいテクニックを笑顔でうぉぉっしゃああって感じですけども(笑) そういった面も含めつつ、 でも、先述した通りですがお話させていただいた印象や、 お二人のイメージを曲にしたかった、という思いが頭の中にありました。 清美さんにまず、曲と資料をお送りしたときに 「かわいい曲ですね〜。これ、ちょっとJazzyに寄せてもいいかな?」と お声をいただいたところからスタート。 オルガンのハモりのラインをそもそも作っていたところもありつつ、 清美さんが更にそれを広げて、 シンセリードを追うようなフレージングを弾いてくださったり。 千里さんは、メロディにぴったりあわせて (例えば4分音符1拍ずつのメロディに ドラムも全く同じライン取りをするなど) のドラミングでアクセントを作ってくださったり。 想定以上にキュートでキラキラした楽曲に仕上がり、 私のお二人への想いは昇華されました。 そういえば、清美さんにRecの時に 「これ、どういう意味の曲なの?」って聞かれましたが、 はっきりと正直に答えられませんでした、ごめんなさい(笑) だって二人への愛があふれすぎてて恥ずかしかったもんで!(なんだそれ) 演奏しているのは3人なのですが、 まさにこのアルバムの「5人の音楽のミューズ」の存在を表現するような 曲になったのではないかな、と自負しております。
MCD
2020年10月23日こちらは昨年7月の町田ジャズフェスティバルにて 「あなぐらむ」というユニットで初お披露目するために作りました。 その後12月のChristmas町田ジャズにて、 「るなゆり」として徳島由莉さんとタッグを組む事になり、 この曲は、由莉さんのヴァイオリンで弾いたら 似合うだろうな!と思い、再演に至ったわけです。 今回、「つきのおと」のゲストミュージシャンとして 由莉さんにお願いするにあたり、 絶対にこの曲は収録したかったのです。 この曲のポイントは冒頭のRubatoでしょうか。 二人で息を合わせながら弾く部分が、ライブ感あるというか。 「つきのおと」では、由莉さんは山籠りして 集中してRecに臨みたいとの事で(誇張表現) あえてスタジオRecを選ばず、山籠りされておりました。 そこで気になったのが上記Rubato部分。 各々で録音して、それが果たしてうまく調和するかどうか。 ピアノ先攻でRecを終えて、そのファイルを由莉さんにお送りし、 ヴァイオリンをのせていただいたのですが… なんの心配も要りませんでした! さすが「るなゆり」で意気投合した仲なだけはある(笑) 仕上がりはまるで、二人同時に一緒にRecしたかのように、 お互いのフレーズを読みながら演奏できていて、感激しました。 音楽仲間っていいなー。気の合う人と一緒に演奏するっていいなー。 と改めてまたしみじみ感じる事に。 ちなみに「MCD」は、町田ジャズフェスティバルにて 町田市民のみなさん、そして町田へ演奏を聞きにきてくださった みなさんへ贈りたくて、作った曲です。 「あなぐらむ」での演奏当初は 「Rubato的な」という仮タイトルがついていて、 その後、別タイトルをつけたのですが、 やはりストレートに、その「贈り物の気持ち」を曲名にしようと思い、 再度、タイトルを変更。それがこの「MCD」です。 由莉さんの、優しく滋味に満ち溢れたヴァイオリンが聞きどころ! そして、私はこう見えてもRubato大好き人間なので、 (Lu7でもこういうアプローチはかなり多いと思います) 自分らしく、ナチュラルな感覚で作曲し、演奏する事ができました。 離れていても、私たちは同じ星空を見てるんだよ。 そう、町田でも、越谷でも、沼津でも、札幌でも(キリがない) 「MCD」はそんな気持ちでの曲です。 アルバム「つきのおと」でぜひお楽しみくださいね。
Coma: Crystal Gazer
2020年10月22日「つきのおと」楽曲紹介第3弾。 「Coma: Crystal Gazer」のご紹介です。 こちらは筒井香織さんのクラリネットと私のエレピでのDuo曲。 今回のアルバムのために書き下ろしました。 香織さんのイメージで…でも、普段の香織さんっぽくないフレーズもいいかも? と考えて、この曲では16分音符と休符の1フレーズをメインにしたのですが、 (ここから私の勝手な妄想ね!↓) 香織さんには、滑らかで美しいフレーズを弾いていらっしゃるイメージが とても強かったので、 今回は挑戦状として(笑)歯切れ良いメカニカルなメロディを作ってみました。 もちろんサビは香織さんの美しいロングトーンが映えるように… 作り始めたら一気にイメージが広がって、すぐに仕上がってしまいました。 香織さんパワーのおかげだな! ところが、気合入れすぎて、そして気持ち入り込みすぎて、 今度は曲名がなかなか決められないときた。 そんな時にはMagaki Zanzoさんの出番です。 (頭痛にバファリン的な) Zanzoさんに出来上がったばかりのデモを聞いていただいたら、 えらくお気に召していただけたようでした。 そして渾身のタイトル「Coma: Crystal Gazer」が命名されたわけです。 「これってどういう意味ですか?」と伺ったところ、 なんでしょう…私もうまくここでZanzoさんから受けた説明を 書くのがとても難しいのですが、 1)この曲には、夢々しいイメージが強いですよね 2)占い師が水晶玉を目の前にうたた寝しているような… 3)夢の中のまた、夢… 大枠としてはこのような事を仰ってました。 自分でつけるタイトルと違って、 ポエミィな方に「音からのイメージ」で命名していただけるのって、非常に楽しい。 私は最近、命名者とのそういった一連のやり取りが好きです。 ちなみに香織さん(アルバム3曲参加)からは こちらの曲は、最後の3曲目として収録データをいただきました。 もちろんやり取りは東京とパリですから、 お互いに時間はなかなか合いませんよね。 とはいえ、ストレージもありますし、こうしてお互いの時差を考えずに (まあ、メッセンジャーをお送りする時には一応気にしますが) データのやり取りができるのって、有難いテクノロジーの進化。 香織さんの演奏ファイルを一聴してわかったのは、 ものすごい気迫、でした。 単にブレスの音が、とかそういう言葉で片付けられない、 目に見えない迫力や、この曲をより良くしてくださるために 心こめて演奏していただけている事が伝わってきて、 もう言葉ないよね。 エレピはいつものScarbee Vintage Keysです。 タイトル命名のZanzoさんは左手のベースラインが良いと 仰ってくださいまして、なかなかにマニアックな目線だなーと思いました(笑) そんなComa: Crystal Gazer、 私自身でももちろんお気に入りの曲の1つです。
Crashed Pineapple
2020年10月15日今回のアルバムではほとんどが新曲、もしくはここ1〜2年内に作ったものですが、 唯一、昔のものを掘り出してきた、というのがありまして、 それが「Crashed Pineapple」でした。 こちらは18歳か19歳くらいの時に作曲したもので、 当時組んでいたバンドでの録音したカセットテープが どこかにあったような…でも多分ウチにはもうないな… KIYO*SENのお二人に演奏をご依頼するにあたって、 急にピンときたのです、 「あの曲、絶対清美さんと千里さんに似合いそう!」。 元気いっぱいで、ファンキーで、ちょっとトロピカルで。 お二人がパワー発散しまくりな演奏をされる姿が目に浮かぶようだったんです。 といっても、若い頃に作った「Crashed Pineapple」そのままではなく、 やはり今の自分の音も入れたくて、 譜面(もう紛失)を使わず、記憶だけ辿りつつ、 新たに作ったセクション(オルガンとエレピでユニゾンしつつ、 エレピがソロを弾いている中間部)も盛り込んでみました。 清美さんには全体を包むようなサウンドで弾いていただいておりますが、 細かい指定やオーダーは出しておらず、清美さんのお好きな感じで! いや、むしろ好き勝手に弾いていただきたい! そう思っていたんです。 清美さんの内から滲み出る「パワー」や「キュートなファンキー感」 そういったものを目一杯出していただける演奏で、 Rec中は、ただただ「かっこいいです」「すてきです」を 繰り返すオウムになってました、私(笑) 四分音符1shotからのグリッサンドってだけでも なんでこんなにエネルギー出せるんだろか。。。 かっこよすぎる。 千里さんは、今回お願いした3曲の中で 最もイメージが掴みやすかったのか、それともお気に召していただけたのか、 スタジオに着くと「Pineapple!!最初に演奏したいです!」と。 もちろん千里さんにも清美さん同様、 私は細かいオーダーをせずに、 千里さんがこの曲に持ったイメージをがつがつ反映していただければ、 と思っておりました。 特に前述の「エレピソロの中間部」での 細かいキックやリムのパターンが(テクニカルな事はもちろんですが) なんともかわいくてトロピカルで、すてきなんです。 とにかくパワフルでキュート、という私の中での お二人のイメージそのままに魅力的な演奏で 仕上げていただき、もう超リスペクト&ラヴ(語彙不足) ちなみにこの曲を書いた当時ですが、 我が校にエイブラハム・ラボリエル氏が特別講師としてお越しになり、 私のバンドにスーパーベーシストとして入ってくださり、 一緒に演奏していただいたのがこの「Crashed Pineapple」でした。 そりゃもうすごかったです、 数十センチくらいの高さで拍に合わせてジャンプしながら、 めちゃくちゃパーリナィな感じで弾くんです。 あの笑顔とジャンプの高さが忘れられません…。 そんな思い出も詰まった曲、 今回のベースはもちろん清美さんのオルガンベース。 ベーシックなラインは当時、 ラボリエルさんに弾いていただいたものと同じですが、 「つきのおと」では更に清美節が出ているかと🎶 ぜひ、アルバムでパワフル&キューティー+ファンキーサウンドに 触れてくださいませ! 余談になりますが、私のSynLeadは、 いつものMOXF6から、EpはKontaktのVintage Keysになります。
a little mentor
2020年10月15日今年の4月末に、愛犬ラウさんがお空に還っていきました。 出会いは2006年暮れの事、 片手に乗るくらいの小さな小さな仔犬で、 2007年の年明け早々に我が家に迎え入れた日の事を 今でも忘れていません。 あちこち一緒に旅をしました。 忘れられない光景は山ほどあって… 唯一の飛行機旅になった、九州への旅行は殊に忘れがたいです。 クレートに入ったラウさんと、無事にまた博多空港で会えるまで 心配で不安でしかたなくて、 彼のクレートが見えた瞬間にほっとして本気で泣いた事もありました。 普段は物静かなのに、インターホンが鳴った時だけは、 猛烈な勢いで吠えまくったり。 人間の涙を何より悲しく感じていたようで、 泣くと顔をすぐなめまくってくれた事。 いつも鍵盤の下で、誰よりも私の弾く音を聞いてくれていた事。 …だめだ、これ以上書けそうもないや。 13年間、いっしょに生きてくれてありがとう。 彼の曲を作ろうと思い、単音のメロディを五線譜に書いて、 それに合うコードを探していって、仕上げました。 (個人的には普段、あまりしない手法ですが、 この曲ではあえて、曲の大半のコードをダイアトニックから外して 意図的に『思い出を彷徨っているイメージ』 『ペットさんたちが旅立つと言われている虹の橋ってどんなところだろうか』 そんなイメージでのコード進行にしてみました) 曲名をつけてくださったのは、 Magaki Zanzoさん。 「a little mentor」(=小さな助言者) ラウさんへの感謝の気持ちや思い出を、といった話しか伝えてなかったのですが、 私が思うラウさんの姿に、一番ぴったりな言葉を つけていただいたと思っています。 赤子の頃の息子とラウさん↓
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